月を見上げる吸血鬼 完結

有純side

体が楽になっている。

死んだから?

それもなんか違う。だったら生きてるの?

そう思い目を開いた。

開く。から生きてるのか。

だるい体を動かそうとして初めて誰かに抱きしめられていることに気付いた。

誰かなんて考えなくてもこの匂いで分かる。月だ。

「つ……き?」

随分声を出していないせいでかすれた声しか出なかった。

それでも月には聞こえたようで、月は私を抱きしめてよかった……と呟いた。

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