初恋フォルティッシモ
そんな青田の声が聞こえて、またふと立ち止まる。
まさかここで俺の名前が出るとは思ってもみなくて、二人に気づかれない程度にまた再び顔を覗かせたら、麻妃先輩が言った。
「…いや、そういうわけじゃ…」
「だったら、三島くんとはあれから仲直りしたんですか?」
「……してない」
「……」
……面白くない。
俺の名前が突然出て来て何かと思えば、この前の部活の時に俺がつい勢いで麻妃先輩に言ってしまったことを、二人は話してるらしかった。
まぁ、俺が原因で二人がデート出来ないのは大歓迎だけど。
……麻妃先輩は……
しかし、俺がそう思ってつい期待をしかけた、
その時───……
「先輩、」
「…っ! 」
「…!?」
俺が一瞬目を離した隙に、青田が…
真正面から、麻妃先輩を抱きしめた。