初恋フォルティッシモ
そして、そんなことを思いながらゆっくりと生徒玄関に向かう。
もうすぐで終わるけれど、まだ授業中だから廊下は凄く静かだ。
ま、しばらく学校行かなくていいし、逆にラッキーだな。
しかし、俺がそう思いながらようやく生徒玄関に到着すると…
「っ、三島くん!」
「!?」
その時。
何故か、俺のクラスのロッカーの前には麻妃先輩が立っていて、俺は先輩にいきなり声をかけられた。
…せ、先輩……何で!?
俺は目の前にいる麻妃先輩と目が合うと、思わずビックリしてその場に立ち止まる。
だって、もう終わるとはいえ今はまだ授業中のはずで……何でだ?麻妃先輩が授業をサボるタイプとは思えないし。
「…な、なんでいるんすか」
もしかして、俺また怒られる感じ?
そう思いながら、麻妃先輩の横を通り過ぎて自分のロッカーの前に足を運ばせると、麻妃先輩がそんな俺に言った。
「…あの、三島くん…ごめんね。大丈夫?」
「…」
「あたし、も、割ってないけど…窓。でも、三島くんも割ってないでしょ?なのに、さっきはああやって…」
…やっぱり、疑ってる。
麻妃先輩は、俺が二人を庇ったと思って心配して待っていたらしい。
俺は麻妃先輩の言葉を聞くと、やがてそれを遮るように言った。
「だから、俺が割ったんですってば」