初恋フォルティッシモ
時刻は、昼の13時。
お、待ち合わせ時間ピッタシじゃん。
そう思いながら、先に待っていたユリナを見つけると、俺はさっそくそいつに声をかける。
「ユリナ、」
「!」
それまでユリナはスマホを片手にしていたけど、俺の声にハッと顔を上げると、すぐに俺を見遣った。
そして嬉しそうな顔をするかと思いきや…ユリナは不満そうに目を細めて言った。
「…おそい」
「!」
そのまさかの言葉を聞くと、俺は少し目を丸くする。
「え、待ち合わせ時間ピッタリだって」
「ピッタリだけど遅いの!ユリナはもう15分前から来て待ってる!」
「……ごめん」
…マジか。相変わらず早いのな。
ま、時間にルーズな女よりはまだマシか。
そんなユリナの言葉に俺が素直に謝ると、ユリナがスマホを鞄に仕舞いながら言った。
「…じゃあ、勇佑」
「?」
「罰としてユリナのワガママ聞いて」
「…え、指輪は?」
「それも欲しいけど、今は別。ユリナを待たせた勇佑が悪いんだよ。
今ここでユリナにチューして」
「…!?」