初恋フォルティッシモ
そう言って、目をキラキラさせながら俺を見つめてくる。
いつもなら「一回だけ」って断りそうだけど、ユリナがあまりにも嬉しそうにして見せるから、俺はそれに負けて今度は少し長めのキスをした。
…っつーか、
「…今日さ、マジで家デートでよくねぇ?」
唇を離したあと。
相合い傘の中で俺が思わずそう言うと、目の前のユリナは目を丸くする。
だってさ、家なら人目気にせずにいくらでもこういうこと出来るじゃんか。
…それに、高い指輪買わなくて済むし。
あ、これはもう一回言っておこう。
高い指輪、買わなくて済むし!!
しかし俺が何気なく「家デート」を口にすると、ユリナが不満そうに言った。
「えぇー。ショッピングしたーい」
…そりゃそうだよな。
でも、
「家だったら、いくらでもチューしてあげるよ」
「!」
「二人でのんびり過ごすのも、たまにはいいじゃん」
「けどさ、指輪、」
「それはいつでも買えるだろ。どーせここから近いし、俺ん家来れば?」
……あれ。っつか、なんか俺、必死すぎ?
ユリナを説得していると何だかまるで俺自身に変な下心があるみたいで、俺は思わず至近距離にあった顔をユリナから離した。
「……」