初恋フォルティッシモ

「俺、青が好きなんだよね」

「?」



そして、今回は変なものは選ばせない、と俺がそう言うと、ユリナは頭の上に?を浮かべて俺を見遣る。

「そんなの知ってるよ?」と言いたげな顔をして見せるから、俺はそんなユリナに言葉を続けた。



「…かっこいいのお願い」

「っ、うん!とびっきりかっこいいの選んであげる!任せて!」

「…」



…本当に大丈夫なんだろうか。


俺はそのあと少しの不安を覚えながらも、やがてチーズケーキを完食させてユリナと喫茶店を後にした。



…………




その後、デパート内のネクタイを扱っているコーナーにたどり着くと、

ユリナが「勇佑はちょっと待ってて!」と早速ネクタイを選び出した。

さっき俺が言った通りに青いネクタイを見ているようだけど、気のせいか後ろ姿がなんとも怪しい。

指輪のお礼にプレゼントしてあげる、とも言ってくれたけれど、ユリナ曰く「買うまで見ないで待ってて」って…それ、怖すぎねぇ?

俺はさすがにいつまでも黙ったままじゃいられなくて、そのうちその後ろ姿に離れた場所から声をかけた。



「…なぁ」

「うん?」

「普通に会社にして行けるやつ選んでくれよ。変なの選ぶなよ、」

「わかってるよー。カワイイの選んであげるからぁー」



…ん?

かっこいい、からカワイイにいつの間にか変換されてますが?
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