初恋フォルティッシモ

「…かっこいいのお願いな」



そしてユリナの言葉に俺がそう言うと、ユリナは「はいはーい」とわかっているのかいないのか、そんな軽い返事を返す。

…心配だけど、これ以上言うとまた喧嘩になりそうだ。

俺は彼女の後ろで、黙って見守ってやることにした。



…………




「お待たせっ」

「!」



そのあと。

だいたい30分くらい待ったあと、ようやくユリナが俺のところに戻ってきた。

その言葉通りプレゼントしてくれるらしく、紙袋の中を覗いてみるとラッピングまでしてある。



「三本選んできたっ。ぜっっったい気に入るよ、勇佑!」

「おー、ありがと。じゃあ早速どっかで開け…」



開けて見てみよう。


しかし、俺がそう言いかけると、ユリナがその言葉を遮って言った。



「だめ!」

「…え?」

「マンションに帰ってから見て!絶対!」

「何で、」

「恥ずかしいじゃ~ん」

「…」



…まだ焦らす気ですかユリナさん。

そんなん言われたら早く帰りたくなるだろ。


だけどユリナが本当に照れ臭そうに俺の肩をバシバシ叩くから、俺は仕方なく話題を変えようと「じゃあ次どこ行く?」と彼女に問いかけた。


…っつか、マジで気になるな……ネクタイ。
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