初恋フォルティッシモ

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「お疲れ様でしたー」



その後、だいたい昼頃から練習が始まって、夕飯ギリギリまで休憩を挟みながらみっちり練習が続いた。

ようやく終わったのは19時を回った頃で、夕飯のカレーを食べる時にはもうくたくただった。


…明日は一日練習だから、今日以上に辛いのか。

今から考えるだけでゾッとする。


夏という季節のせいか、疲れはいつもより倍増していて、もう今の俺はサックスという楽器すら見たくない。

そう思いながら施設の人が作ってくれたカレーを食べていると、近くで部員達の声が聞こえた。



「トランペットの人ー。お風呂の前にまた練習するよー」



…げ。マジか。

良かった。俺はトランペットじゃなくて。


一年の頃は自分がトランペットをあんなに吹きたかったのに、少しでも都合が悪くなればついそう思ってしまう。

合宿って言ってもさ、ちょっとくらい遊んでも良くない?

そう思いながらカレーを食べ進めていると、そのうちにふいに麻妃先輩が声をかけてきた。



「三島くん、」

「?」
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