初恋フォルティッシモ
「…練習しないんすか?」
麻妃先輩の言葉に俺がそう問いかけると、一方の麻妃先輩は、「まぁ、いいからいいから」と何かを誤魔化す。
そんな麻妃先輩に俺は完全に?になりながらも、とりあえず言われた通りにサックスを床に置いた。
…もしかして、俺今から説教されんの?
そしてふいにそう思いながら、姿勢を直して真っ直ぐに麻妃先輩を見遣った時…俺はようやく“あること”に気がついた。
「…!」
…ついさっきまでは、戸惑いが勝ってて気づかなかったけど。
昼間は普通に体操着を着ていた麻妃先輩は、今は私服で…上は白いTシャツに、下は赤い短パンを穿いている。
麻妃先輩の私服姿を見ることなんてないから、結構貴重だな。
…っつか、気になるのはそんなことじゃなくて。
「あ、あのね三島くん。いきなり、こうやって呼び出して、ごめんね」
「…、」
「実は、練習とか…嘘なの。三島くんちゃんと出来てたし、安心してる。どうなるかわからないけど、コンクール頑張ろうね」
「…」
「…三島くん?」
赤い短パンからスラッと伸びている脚が、あまりにもキレイだったから。
麻妃先輩が何かを言っているけど、その声は耳を通り抜けて、俺の視線は今度は静かに上へと這っていく。
「…っ」
するとそこにあるのは、白いTシャツからうっすらと透ける下着。
それに気がついた時、思わずゴクリと喉が鳴った。