初恋フォルティッシモ
でも…
「三島くんってば、」
「!」
ふいにその時麻妃先輩にそれを遮られて、顔を覗き込まれる。
…気のせいか、麻妃先輩のその頬は赤く染まっていて、さっきからわき上がってきている俺の感情を、余計に引き立たせた。
「聞いてる?」
「…っ」
「あのね、呼び出したのは、三島くんに大事な話があるからなんだ。
あの…もしコンクールの結果がダメだったら、もう逢えなくなるし…言っておこうと思って」
麻妃先輩はそう言うと、ますます赤くなっていく顔を手で隠しながら、言葉を続けようとする。
でも、次のその言葉だけはちゃんと言おうと、自身の顔からその両手を離して、俺を見て言った。
「三島くん」
「…~っ」
「あたしね、ずっと…ずっと三島くんのことが……
すっ、」
…しかし。
次の一文字を言うか言わないかのところで、ついに俺の理性がその瞬間に吹っ飛んだ。
気がつけば俺は、座っていた椅子から立ち上がり、目の前の麻妃先輩の唇を俺のそれで塞いでいた。