初恋フォルティッシモ

…しかし。


しばらくそうやって見入っていると…ふいに背後から、俺は聞きなれない声に声をかけられた。



「…あの、」

「…」

「…あの!…ねぇ、何やってるの?」

「…?」



その声に、俺は「なに」と振り返る。

…せっかくいいとこだったのに。


そう思いつつ、不機嫌でそこを見遣ったら…後ろには、見たことのない女子生徒が1人…。

…誰だこいつ。


俺はそう思いながら、そいつをジロ、と睨んでみる。


ショートヘア…というよりは少しだけ長めの黒髪に、細めの体…何より細い、目。

俺が睨んでも、そいつは怯むことなく首を傾げながら俺をじっと見つめてくる。

…あ、もしかして目が細いせいで俺が睨んでるのがわからねぇのか。なんて。


寧ろその顔はまるで、「何か用?」とでも聞きたげな顔。

だけどその表情は、ふいにパッと明るくなって…



「…あっ!わかった!」

「?」

「ちょっとそこで待ってて!」

< 15 / 278 >

この作品をシェア

pagetop