初恋フォルティッシモ
…しかし。
しばらくそうやって見入っていると…ふいに背後から、俺は聞きなれない声に声をかけられた。
「…あの、」
「…」
「…あの!…ねぇ、何やってるの?」
「…?」
その声に、俺は「なに」と振り返る。
…せっかくいいとこだったのに。
そう思いつつ、不機嫌でそこを見遣ったら…後ろには、見たことのない女子生徒が1人…。
…誰だこいつ。
俺はそう思いながら、そいつをジロ、と睨んでみる。
ショートヘア…というよりは少しだけ長めの黒髪に、細めの体…何より細い、目。
俺が睨んでも、そいつは怯むことなく首を傾げながら俺をじっと見つめてくる。
…あ、もしかして目が細いせいで俺が睨んでるのがわからねぇのか。なんて。
寧ろその顔はまるで、「何か用?」とでも聞きたげな顔。
だけどその表情は、ふいにパッと明るくなって…
「…あっ!わかった!」
「?」
「ちょっとそこで待ってて!」