初恋フォルティッシモ
やっと、気がついた。
いつのまにか、俺の後ろには…
「あ…麻妃先輩っ!?」
なんと偶然にも、あの「麻妃先輩」が並んでいたのだ。
いきなりのまさかの展開に俺が目を見開くと、先輩は細い目を開ける代わりに口をあんぐりさせた。
……………
本当に、こんな偶然があるんだな…。
あれからカウンターでそれぞれの品を注文した俺達は、二人で一緒に窓際の椅子に座って向かい合った。
いま、俺の目の前にいるのは…ホンモノの麻妃先輩。ずっと、逢いたくてしかたなかった麻妃先輩。
…夢じゃ、ない…よな?
そう思いながら、運ばれてきたコーヒーに手をつけずに確かめるように麻妃先輩を見つめていたら、ふいに窓際から俺の方に視線を移して麻妃先輩が言った。
「久しぶりだね?元気だった?三島くん、」
「えっ。あ…ハイ。まぁ…それなりに」
「ってか、ほんとビックリだよねー。まさかこうやって再会する日がくるとは…」
「…」
ほんと、ビックリ。
何話していいかわからなくなるよね。
なんて。十分話せている麻妃先輩はそう言うと、昔と変わらない笑顔を浮かべる。
一方、俺は……懐かしすぎて、泣きそう。