初恋フォルティッシモ
俺はそう言うと、ユリナの返事を待つ。
ただ俺の予想だと、ワガママのユリナが俺の言葉に「わかったよ」なんて頷いてくれるはずがない。
そう思って待っていたら、そのうちにユリナが言った。
「…やだ」
「…は?」
「別れたくないっ…ずっと勇佑と一緒にいたいっ…!」
ユリナはそう言うと、真正面から俺に勢いよく抱きついてくる。
「…っ、ユリナ、」
…まぁ、これも予想出来ていた。
だけど、怒って殴ってこないのは意外だな。
そう思って、ユリナを自身から離そうとしても…磁石のように引っ付いて離れない。
そのことに俺が困った声を出すと、ユリナが言った。
「っ…ユリナは勇佑好きだよ!勇佑がユリナのこと好きじゃなくたっていい!
指輪だってすっごく嬉しかったんだよ!今だってずっと、肌身離さずつけてるしっ…!」
「ユリナ、いい加減にし…」
「嫌!やだよ勇佑!今日だって…せっかく、勇佑のためにっ…ほんとは頑張ってハンバーグ、作って待ってたのにぃ…」
「…、」
ユリナは俺を引き留めるようにそう言うと、今までに見たことないくらいに泣きじゃくる。
しかもその言葉に、俺のなかにある良心がチクチクと痛みだす。
プリンと見せかけて、サプライズでハンバーグ…作ってたのか。いや、どのみち今腹いっぱいだけど。
っつかこのユリナの言葉にいつもみたいに流されてたら、いつまでたっても別れることが出来ないから。