初恋フォルティッシモ
俺は半ば無理やりユリナを自身から引き離すと、冷たく言った。
「…しつけぇんだよ」
「!」
「んなモン知るかよ。俺お前といると疲れる」
「…~っ」
「じゃあな。もう連絡してくんな」
そう言って…
「っ…いや!勇佑っ…!」
「…っ」
また俺の腕を掴むその手も振り払って、俺は玄関のドアをバタン、と閉めた。
…閉めた直後、ドアの向こうからユリナの泣き声が聞こえてくる。
でももう、関係ない。
俺は麻妃先輩を愛してる。
それはもう嘘は吐けないから。
そのドアの前を離れると、俺はエレベーターに乗って一階に戻った。
…外は、寒い。
麻妃先輩は今頃マンションに着いたかな。
俺はスマホをポケットから取り出すと、早速ユリナの連絡先を削除した。
これからは、いちいちユリナのことを気にしなくていいんだ……。
…しかし、その一方で…
「…ムカつくっ…」
まだ、静かな玄関。
涙でいっぱいになったユリナが呟いた言葉を、俺は知るよしもない。
…誰なの、ユリナから勇佑を奪った女…。
「絶対、許さないっ…」
ユリナはそう呟くと、自身の両手を強く握りしめた……。