初恋フォルティッシモ

…………


その後視聴覚室を探し当てると、それは二階の隅の方に存在した。

中に入ると、そこにはドラムや木琴、鉄琴などが並んでいて…

普段はあまり見ることがない光景に、俺は「おー、すげー」なんて思わず目を奪われる。


そして、同じ演奏側のステージには、吹奏楽部の部員達も揃っていて。

…あ、トランペットだ。

そう思いながら、新入生用の椅子に座ろうとしたら…見事にそこは女子だらけ。

俺以外の男子もいることはいるけど、酷く居心地が悪い。


………いくらトランペットが見れても、これはさすがに無いな。

やっぱ帰ろ。


俺がそう思って、そこを引き返そうとしたら…



「…!?」

「!!…あっ、」



…その時。

運悪く、視聴覚室の入口で俺は一人の女と鉢合わせになった。



「っ…来てくれたんだ!?」

「…、」



……さっきの、アサヒって女だ。

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