初恋フォルティッシモ

…………


三島くんと別れて電車に乗ると、いつもと同じように揺られながら数十分くらい過ごした。

隣の車両から誰かに見張られているとは知らずに、あたしはずっとスマホとにらめっこ。

ゲームをしながら過ごしていたら、やがて目的の駅に到着して電車を降りた。


スマホを鞄の中に仕舞って、見慣れたホームを進んでいく。

改札口を抜けて外に出ると、少し寒くて急いでマンションに向かった。


その途中、あたしはなんとなく三島くんを思い浮かべて、さっき浮かない顔をしてた理由が気になって考えてみる。

渡辺部長とかがそういう顔をしててもそこまで気にならないけれど、それが三島くんだったら話はまた違う。

…何だか、自分のことのように、不安になる…みたいな。



…しかし、そんなことを考えていたら…




「あの、すみません」

「…?」




駅からだいぶ離れた時、あたしはふと誰かに声をかけられた。



「はい?」



聞き覚えのない声。

振り返るとそこには、知らない女の人が立っていた…。














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