初恋フォルティッシモ
ユーフォニウム~ユリナ~
勇佑が買ってくれた、きらきらした指輪をうっとりと眺める。
どうしてこんなに可愛いのか。
買ってもらう前から可愛いとは思っていたけれど、今になってその時以上にそう思うのは、勇佑が買ってくれたからっていうのが一番の理由だと思う。
自分がワガママすぎるのは百も承知だ。
でも、勇佑。ユリナだって子どもじゃない。
不安だから、「確かめる」んだよ。
……………
「じゃあな」
指輪を買ってもらったあの日。
勇佑は帰り際にユリナにキスをしたあと、そう言って手を振った。
雨のデート。
これは文句言わない。たまにはいいでしょ?なんて。
指輪がとにかく欲しかっただけなんだけど。
「泊まっていけば?」って言ったけど、勇佑がすぐ断っちゃったし。
あっけなく帰っていく彼の姿を見たあと、ユリナはいつものマンションの部屋に入った。
…寂しい。
友達はいつも、自分の彼氏の自慢話ばかりする。
愛でいっぱいで、幸せなんだって。愛されすぎて疲れるとも言っていた。それはもう満面の笑みを浮かべて。
ねぇ勇佑。
ユリナも、自慢話がしたい…。