初恋フォルティッシモ
「え、」
その後のカラオケで、ふいに勇佑くんにそう聞かれた。
ちょっとびっくりした。
なんか、チャンスがきた?って感じで。
だからユリナは、喜んで答えた。
「い、いないよ!いたら合コンなんて参加してないっ」
「そっか」
「勇佑くん、は?いるの?彼女」
「んーん。今いない」
勇佑くんはそう言うと、目の前のグラスを手に取る。
さっきオーダーしたビール。
その言葉にユリナが喜んでいたら、また勇佑くんが言った。
「じゃあ…抜け出しちゃおっか」
「えっ」
「なんか、カラオケとかつまんねぇし」
勇佑くんはそう言うと、少年のようなイタズラ顔で、「こっち来て」とユリナの手を取る。
そのまま本当にこっそり二人で部屋から抜け出すと、ユリナ達は一気に静かな廊下に出た。
え、何これ。
抜け出してる?勇佑くんと二人で?
え、何で何で!?
そう思いながら、いきなり二人きりになると、寒い外に出て勇佑くんと目が合う。
「…寒い?」
「う、ううん!平気!」