初恋フォルティッシモ

…………


「…はぁ」



独り暮らしをしていて思うのは、一日だけでもいいから誰かに待っていてほしいと思うこと。

あのあとマンションの部屋に帰ると、散らかったままの部屋に思わずため息が零れ出た。


ここに帰ると、誰かが…

いや、願わくば、麻妃先輩が待っていてくれたらいいのに。

そういう日はいったいいつやって来るのか、



「…片付けるか」



思わず出た小さな独り言のはずが、妙に大きく部屋に響き渡る。

テレビをつけたら恋愛ドラマが流れていて、バラエティー番組にチャンネルを変えた。

…恋愛とかめんどくさい。

そう思っていたあの日に戻りたい。


それなのに、求めてしまう。

ほんとは誰だっていいじゃん。

そう言い聞かせても、言い聞かせても…



『三島くん、』

『大人になったねぇ』

『脈ナシなんだぁって』



なんか、すっげぇ止まらない。

麻妃先輩が好き。
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