初恋フォルティッシモ

「…、」



そして、片付けている最中のはずなのに、思わずスマホに手が伸びる。

連絡が来てないか…確認をして、でも来てなくて、ため息交じりに閉じる。


彼氏だったら、連絡していると思う。

そう、彼氏だったら。

けど今は違うから。なんとなく、出来ない。


…しつこいかな。今連絡をしたら。


そう思いながら、掃除機をかけて…

それが終わったらまたスマホを開くと、ラインがきていて思わず画面を見入った。



「…!!」



一瞬、麻妃先輩かと思ったけれど…違った。

同じ部署の先輩からだった。

麻妃先輩の、同僚の男。


何かと思ったら、「今居酒屋にいるから来い」で、

そのラインを見てしまったからには、「今から行きます」と返信をして、着替える。


…すっげぇめんどくさい。

相手が麻妃先輩だったら喜んで行くのに。


俺は貴重品だけを持つと、再びマンションを出た。
< 243 / 278 >

この作品をシェア

pagetop