初恋フォルティッシモ
「…、」
そして、片付けている最中のはずなのに、思わずスマホに手が伸びる。
連絡が来てないか…確認をして、でも来てなくて、ため息交じりに閉じる。
彼氏だったら、連絡していると思う。
そう、彼氏だったら。
けど今は違うから。なんとなく、出来ない。
…しつこいかな。今連絡をしたら。
そう思いながら、掃除機をかけて…
それが終わったらまたスマホを開くと、ラインがきていて思わず画面を見入った。
「…!!」
一瞬、麻妃先輩かと思ったけれど…違った。
同じ部署の先輩からだった。
麻妃先輩の、同僚の男。
何かと思ったら、「今居酒屋にいるから来い」で、
そのラインを見てしまったからには、「今から行きます」と返信をして、着替える。
…すっげぇめんどくさい。
相手が麻妃先輩だったら喜んで行くのに。
俺は貴重品だけを持つと、再びマンションを出た。