初恋フォルティッシモ
「…あー…行きたいんですけど、俺今満腹なんで」
「だよねぇ」
俺がそう言うと、先輩は残念そうな顔をする。
それから一言二言話をしたあと、俺は先輩とその場で別れた。
「じゃーねー三島くん」
…そう言って俺に向かって元気よく手を振る先輩は、全然変わっていない。まぁもちろん、少し大人になってしまったけれど。
俺はそんな先輩に手を振り返すと、やがて再びマンションに戻った。
………
それから数分くらい歩いてマンションに到着すると、俺は早速麻妃にラインをした。
さっき再会した先輩の名前が思い出せなくて、モヤモヤしたままだから。
ラインの中で問いかけた後、しばらくして麻妃から返事がきた。
「!」
俺はその通知音を聞くと、すぐにスマホを手に取って、その名前を確認する。
するとトーク画面には、こう表示されてあった。
“え、忘れちゃったの!?笑”
“華木先輩だよー”
「っ…ああ!そっか!」
その瞬間、モヤモヤが綺麗に外れて、俺の心が一気に晴れ渡った気がした。
そうか、華木先輩!華木先輩だー!!
【思い出せない再会/おまけ③】
(いいなぁ。あたしも華木先輩に会いたかった)
(いいだろ。先輩可愛かったよ)
(…)