初恋フォルティッシモ
******
翌日。
誰もいない屋上で、俺は独り寝転がる。
今は昼休み。結局昨日は、あれから本当にマンションに帰った俺は、サックスの教室に顔を覗かせることはなかった。
…当たり前だ。さっさと辞めてやる吹奏楽なんか。
俺は独りそう思うと、上に広がる大きな空に向けてため息を吐く。
……ついでに次の授業もサボるかな。
そう考えていたら…
「…?」
ふいにその時、突如屋上のドアが開く音がした。
その物音からしてどうやら誰かがここに上がって来たらしく、その足音は何故か俺の方に向かってくる。
……誰だよ。
俺はそう思いながら、だけど体勢は寝転がったままの状態でいると、その時すぐ傍で聞き覚えのある声がした。
「三島くん、」
「…?」
その声に、チラ、とだけ声がした方に目を遣ってみる。
すると、そこに立っていたのは…
「………なんだお前か」
アサヒだった。