初恋フォルティッシモ

そう言って、ふいに目が合ったそいつの表情は…あの時の俺を見透かしてるかのような顔。

その言葉に、俺は珍しく言い返す言葉が出てこない…。

だって、それもそのはず。

麻妃先輩が言ったその言葉に、間違いはないから。


俺がその言葉にもビックリしていたら、麻妃先輩が言葉を続けた。



「なーんかおかしいと思ってたんだよね、あの日。

吹いた時に音が少しでも出れば凄く綺麗な音が出せてるのに、ずっと出ないからまるで我慢してるみたいで。

すぐにサックスを吹くコツを掴んだのに、三島くんはトランペットを吹きたくてわざとそういうことしたでしょ?」


「!」

「…だから、あたしは三島くんが一番向いてると思ったの」



麻妃先輩はそう言うと、「あたしが考えてたこと、間違ってる?」なんて…俺にそんな確認をしてくる。



「…っ…」



見破られていた。


俺にはそれが何より、悔しくて。後悔して。ムカついて。

実際、俺にとって本当は吹きやすかったあのサックスという楽器は…まぁ嫌いじゃないのは確かだけど。


でも俺はつい怒りに任せて、目の前のそいつの肩をぐっと強く掴んだ。



「………ふざけんなよ、」

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