初恋フォルティッシモ
真っ暗になっていた居間の電気をつけると、テーブルの上には物が散乱していた。
今朝、適当に食べた菓子パンの袋や、昨日の夜に食べたカップ麺の容器がそのままになっている。
……マジか。すっかり忘れてた。
だけど確か明日はゴミの日だ。
俺はゴミ袋を棚から引っ張りだすと、早速その散乱しているゴミを片付けはじめた。
しばらくして一通りゴミを片付け終えると、俺はソファーに項垂れた。
…疲れた。テレビを点けるような気力すらない。
風呂に入ろうか…そう思いながらもなかなか動けずにいたら、その時……ふいに、テーブルの上に無造作に置いてあるスマホが勢いよく鳴り出した。
…ああ、電話だ。
「…はい」
俺がやるせない声で電話に出ると、その向こうから聞きなれた声が聞こえてきた。
「もっしー。
ねぇ勇佑ぇ~、同窓会終わったー?」
…その電話の相手は、去年の末頃から付き合っている彼女のユリナ。
バイト仲間の付き合いで合コンに参加したのをきっかけに、付き合い始めた。
容姿は、麻妃先輩の目を大きくしたような感じの顔。
だから、顔は可愛いんだ。そう。顔だけは。