初恋フォルティッシモ
でも、そんな俺を完全に抑えてくれたのが……
「やっぱ、アレだよね。麻妃ちゃん!あのコがいたからだよね!」
「!」
今でも大事な、麻妃先輩の存在があってこそだと思う。
俺はそんな先輩の言葉に、思わず顔を上げて反応した。
するとその言葉に、俺の隣にいる華木先輩が言う。
「えぇー。あたしもちゃんと三島くんの面倒見てたよー」
「まぁそうだけど、」
「……ってか、うちら三年と一年生は一緒に活動する期間、短かったもんね。そう思われても仕方ないかぁ」
華木先輩はそう言うと、目の前のチューハイを飲む。
そして、ふと俺に言った。
「…あ、そういえば…青田くんは?」
「え、」
「いたじゃん、吹奏楽の時。三島くんと同学年の青田くん。あのコ、まだ来てないね」
華木先輩はそう言うと、居酒屋の入口に目を遣る。
青田誠也(あおた せいや)。
彼とは同じ学年で、たまたま同じサックスを任された………仲間?だ。
俺は華木先輩のその言葉に、「そうっすね」とだけ呟いた。
…だって、俺はそいつよりも…