初恋フォルティッシモ
上手い上に頭が良いとか、マジで。
俺がそう言うと、一方の青田は少し驚いたように目を見開いて、俺から目を逸らす。
…どうしたんだ?ほんとに。
そんな青田に、俺が首を傾げていたら…
「青田くーん、三島くーん」
「!!」
「!!」
その時…
突然、練習場所のこの教室に、華木先輩がやって来た。
…げっ、
俺がその声にそう思うと同時に、教室の出入口のドアが華木先輩によって躊躇なくガラ、と開く。
今、華木先輩はコンクールの練習真っ最中のはず…
だけど、俺達の練習具合を見にきたんだろう。
華木先輩は、コンクールの練習の時にでも休憩時間になると、ほぼ毎回こうやって俺達の練習具合をチェックしに来るのだ。
華木先輩は俺達が窓際で楽器から離れているのを見ると、冗談ぽく言った。
「ああーっ、サボってるでしょ二人してー」
からかうようにそう言うと、教室の中に入ってくる。
すると、そんな華木先輩の言葉に、青田が慌てたようにして言った。
「ち、違います!三島くんが、楽譜の読み方がよく理解できないって言うからっ…」
「あははっ、大丈夫大丈夫。
そんな慌てなくても、三島くんが楽譜手に持ってるの見たらなんとなくわかるよー。教えてたんでしょ?エライエライ」