初恋フォルティッシモ

…………だけど、その後。

青田はなかなかその連符が出来ず、次のチェックの時に華木先輩が言った。



「青田くん、今日部活終わったあと時間ある?」

「はい」

「じゃあ、音楽室に残って二人で練習しよっか。ギリギリまで付き合うよ」



華木先輩はそう言うと、「じゃあ後でね」とまた教室を後にして行く。

…居残りって奴か。俺じゃなくてラッキー。

俺はそう思いながら、青田に言った。



「良かったな、居残り練習」

「良くないし。難しすぎて出来る気しないよ。三島くんは出来るの?」

「俺?俺はそもそもまだそこまで練習してないし」

「ええー」



…じゃあこれからぶつかることになるよ。


青田は俺の言葉にそう言うと、また練習を再開させる。


うるせー。

俺は「残って」って言われても、ぜってー残ってなんかやんねー。


俺はその言葉にそう思いながら、まずは簡単な部分だけを練習し始めた。



…───しかし。
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