初恋フォルティッシモ
「あっ!麻妃ちゃん!」
「…はい?」
「ねー麻妃ちゃん、この後居残りとか平気?あたしの代わりに、青田くんの練習に付き合ってほしいんだけど」
「!!」
はぁ!?
その言葉に俺がそこに目をやると、麻妃先輩が躊躇なく言った。
「あ、はい。別に大丈夫ですよー」
「ほんと!?ありがと麻妃ちゃーんっ」
華木先輩は麻妃先輩の言葉にそう言うと、「ごめんね青田くん」と青田に一言声をかけ、やがて三年生の集団の中へと入って行く。
だけど一方、隣でそんな会話を聞いた俺は、何故だかいてもたってもいられない。
いや、何で麻妃先輩なんだよ!華木先輩が付き合えよ!
そう思いながら、楽器を片付ける手が自然と止まっていたら…
「…!」
その時、何故かふと顔を赤くしているような青田の顔が目に飛び込んで来た。
「…?」
…その顔は何か、嬉しそう?
青田はそんな表情を浮かべながら、麻妃先輩とのやりとりに「はい」と笑顔で頷いた…。