初恋フォルティッシモ

その声に、俺はまたその画面に目を戻す。

なに、と呟いたら…麻妃先輩が、悪戯な声で言った。



「容疑者Mの完成~」

「!」



麻妃先輩がそう言って指を差したのは、そこに映る俺の姿。

それはいいんだけど、俺がさっき目を背けていた間に麻妃先輩は俺の顔に悪戯描きをしていたらしく、まるで容疑者のように俺の目だけが黒く塗りつぶされている。

俺はその自分を見ると、少し驚いて言った。



「何してんだよおいっ」

「へっへ~目が細いとか言うから仕返しだよ~」

「…あーあ、それすげーイケメンに映ってたのに」

「それ自分で言う?」



麻妃先輩は俺の言葉にそう言うと、隣でクスクスと笑って見せる。

一方、その笑顔を偶然間近で見た俺は…思わず心臓がドキリと音を立てた。


…笑った顔が、可愛い。

そんな甘い思いと一緒に。




けど………いや、

いやいやいや。っつか、俺何考えてんだマジで。


そして自分の勝手な思いに、俺が独り首を横に振っていると、

そのうち落書きが完成して、一枚のプリクラを切り分けながら、華木先輩が言った。



「次はさ、せっかくだから二人ずつに別れて撮ろうよー」

「!?」



まだ撮んのかよ!
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