初恋フォルティッシモ

せっかくやっと帰れると思ってたのに、そんな華木先輩の一言に、俺は驚いてちょっと目を見開く。

しかもその言葉に、麻妃先輩や青田も笑顔で頷いてるし。

俺が空気を読まずに「帰りたい」って言おうとしたら、それを遮るかのようにメンツ分けが始まって、テキトーなぐっぱで俺は麻妃先輩と撮ることになった。



「……」



…なんだコレ。

(いや、青田とじゃなかっただけまだマシか)


俺がそんなことを思いながら完全に黙りきっていると、複数あるプリクラ機を見ながら麻妃先輩が言った。



「三島くん、どれにするー?」

「……」

「あっ、コレとか良さげじゃない?美白だって!」

「……」

「…小悪魔!これも気になるっ」

「……」

「…ちょっとー、三島くん聞いてるの?」



俺が無反応でただただ麻妃先輩の後ろをついていくように歩いていたら、そのうち怒ったような顔で麻妃先輩がそう言って振り向いた。

…でも、そうは言っても俺、プリクラとかほんと興味ないし。



「…どれでもいいっすよー」

「もー、それじゃあ二人で撮る意味ないじゃんっ」



そして俺のそんな言葉に麻妃先輩はそう言って、ただでさえ細い目をもっと細くする。

…その目じゃ絶対何も見えてないよな。

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