初恋フォルティッシモ
「じゃあリボンのこれにしよー」
「!」
麻妃先輩はそう言って、勝手にとびきり可愛い背景をいくつか選択した。
いや、ふざけんなよ!何してんだよ!
「はぁ!?何選んでるんすかマジで!」
俺に合わなさすぎるだろって!
麻妃先輩のそんな勝手な行動に俺がそう文句を言うと、それを遮るようにプリクラの撮影が早速開始される。
それでもふて腐れていたら、「怒った顔じゃせっかくのプリクラが台無しだよ」なんて声が横で聞こえてきて…
お前のせいだろ!
俺がそう思いながら、睨んでやろうとそいつの方を見遣ったら…
「…!!」
「笑ってよほら、こうやって。ニコーって」
その瞬間。
そこには予想外の至近距離で、俺に向かって笑顔を作って見せる麻妃先輩の姿があった。
そんな先輩の笑顔を目にした瞬間、俺の心臓が、大きくて深い音を立てる。
…可愛い。
女に対して、はっきりとそう感じたのは初めてだった。
しかもそれと同時に、もっと近づきたい衝動にかられて。
だから、気がつけば俺は…麻妃先輩の肩に手を添えて、
「…み、三島くん?どうしたの?」
「…っ、」
「ほら、撮るよ!笑ってよ三島くんっ。ちょ……っ」
プリクラの大きなシャッター音とともに、
麻妃先輩に、キスをした。