初恋フォルティッシモ
その女子高生達は俺達の存在に気がつくとすぐに出ていったけど、
せっかく自分の気持ちに気がついて告白をしようとしていた俺は、今さっきあった勇気が一気にしぼんでしまう。
…俺の決意を返せよ。
「び、びっくりしたー…」
「…」
「…で、三島くん何?」
「え?あー…」
「?」
そして麻妃先輩はそう言うと、俺に目を戻して頭の上に?を浮かべる。
そんな先輩が可愛すぎて、もう言えなくなった俺は、やがて声のトーンを落として麻妃先輩に言った。
「す、す……すげぇ落書きがしたいっす」
「え、あたしのこと落書きしたいの?絶対変な落書きしかしないでしょ!」
「…あ、いや」
「どーせ、さっきみたく“容疑者A”とかにするんでしょ~三島くんは!もう、いきなり何言うのかと思った~」
「……」
麻妃先輩は俺の言葉にそう言うと、ため息交じりで通学鞄を持って、先にプリクラ機を出る。
気がつけば、撮影はもう終了していて。きっと、キス以外はまともな写真が撮れていない。
俺は重たいため息を吐くと、麻妃先輩に続いてプリクラ機を後にした。