初恋フォルティッシモ
…………
「ねぇ、まともなの無いんだけど」
「あるじゃないっすか。これ」
「き…キスしてんのはダメ!」
その後。
撮った写真に落書きをするべくまた二人で並ぶと、画面にはさっき撮ったばかりの画像がいくつか映し出された。
…けど、そこからいくつか選ばなきゃいけないのに、目の前の画像には麻妃先輩の言う通り、俺のせいで選べるようなものがない。
それなのに、一番まともなキスしてんのがダメって。
だったらこの中で何を選べってんだよ。
俺はそう思いながら、ペンを片手に適当なのを選びだした。
「…じゃあ、これと」
「うん」
「これと…」
「っ…それダメ!あたし目瞑ってる!」
「…」
…別に、普段から似たような目してんだから、よくね?
俺は麻妃先輩の言葉にそう思いつつも、それは言わずに素直に従った。
さすがに怒られそう。
そして麻妃先輩にあれこれ言われながら選んでいくと、やがて必然的にキス画像が結局採用された。
「な、なななんでこれなの!」
「仕方ないじゃないっすか。麻妃先輩が、これ目瞑ってるからとか、変な顔だからとか言って他のを避けるからですよ」
「!…う~、」
…これだって、嫌なのに。
麻妃先輩は俺の言葉にそう呟くと、納得がいかない様子で口を尖らせる。
その横で、慣れない手付きで落書きを開始させる俺。
その画像は、例のキス画像。
落書きとか興味ないからスタンプだけを適当に飾っていたら、その時隣でペンを握らないまま、麻妃先輩が言った。
「……ねぇ、三島くん」
「はい?」
「あの…あのさ、」
「?」
「三島くんは……なんで、」
しかし、麻妃先輩が何かを言いかけたその時…