初恋フォルティッシモ
「ねぇ、二人とも終わったー?」
「!?」
「!?」
突然、前触れもなくそこに華木先輩が青田を連れて割って入ってきた。
…げっ、
そんな華木先輩の手には、ついさっき青田と撮ったらしい一枚のプリクラ。
俺は俺で麻妃先輩とのキス画像を隠さないままでいると、
その時華木先輩が素早くその画像に気がついてしまって、びっくりしたように目を見開いて言った。
「…!?え、えぇ!?何これ、きっ…」
「あ、ああっ!!…いや!先輩違うんですこれはあのっ、」
「キスしてんじゃん!え、何!?実は二人付き合ってんの!?」
華木先輩のそんな言葉に、麻妃先輩が顔を真っ赤にしながら一生懸命それを否定する。
そしてその華木先輩の後ろで、青田もキス画像を驚いたような表情で見つめたまま…微動だにしない。
「……」
…しまった。いきなりすぎて隠すの忘れてた。
俺がそう思いながら落書きを再開させていると、華木先輩が言った。
「付き合ってるなら言ってよー、水臭いなぁ」
「いや本当に違うんですってば~!ちょっと、三島くんも何か言ってよ!」
「照れなくていいんだよ麻妃ちゃん。もう何も隠さないで」
「ほんっとに違うんです!誤解です!」
「とか言いながら顔真っ赤だよ~」
華木先輩は麻妃先輩にそう言うと、からかうようにニヤニヤと視線を送る。
…ああ。華木先輩に見られたってことは、明日すぐに皆に噂が広がるな。
俺と麻妃先輩が付き合ってる、とか何とか。いや、俺は別に構わないけど。
俺はそう思うと、やがて適当にやった落書きをようやく完成させた。