初恋フォルティッシモ
…………
その後はショッピングモールで麻妃先輩や華木先輩と別れると、
俺は青田と少し離れて家までの道を歩いた。
あれから華木先輩には散々俺と麻妃先輩の関係を聞かれたけれど、俺は敢えて否定も肯定もしなかった。
華木先輩の「付き合ってるんでしょ」って言葉に照れまくって否定する麻妃先輩が可愛すぎて、それを見ていたかったから。
二人は多分今頃一緒に帰っているだろうから、麻妃先輩はきっとまだキスのことを聞かれまくっているかもしれない。
俺がそう思いながら、独り歩いていると、ふいにその時青田が口を開いて言った。
「……三島くん、」
「…ん?」
「さっきの…アレ何なの?…プリクラ、」
青田は少しぎこちなくそう問いかけると、俺の方を見遣る。
好きだから気になるんだろう。
いいよ気にしてろよ。その方がオモシロイ。
俺はそう感じながら、青田に言う。
「何って?キスのこと?」
「…それ以外に何があるの」
「俺、麻妃先輩のこと好きだから。キスしたくて遠慮なくキスした。それだけ」
「!!」
俺がそう言うと、青田は「…そう、」と表情を曇らせる。
んな落ち込むなよ。
…けど、無理か。好きな人が誰かとキスしてんの見て、落ち込まない奴はいない…よな。
俺はそう思うと、やがてまた口を開いて青田に言った。
「…俺、お前にこの前気持ち見破られた時、そんなわけないって思ってたんだよ」
「…?」
「ほら、お前俺に言ったじゃん。麻妃先輩のこと好きなの?って。
あの時俺、お前のこと何言ってんだ?って感じだったけどさ、気づいたんだよ。確かに俺は、麻妃先輩が好き」