初恋フォルティッシモ
…………
俺は高校生になるまで、デートというものをしたことがなかった。
というのも、そもそも一人の女にこんなふうに執着するのはあり得ないって思っていたし、
そんな自分自身を想像してはよく寒気を覚えていたからだ。
…でも、今日。
(直接「デート」とは言われてないけど)
今までのそんなひねくれた自分も、もう終わり。
今日は部活以外で、しかも二人きりで麻妃先輩と一緒にいられるとか…
「三島くん、こっち」
「あ、ハイ」
これ、完全に脈アリなんじゃね!?
俺はそんなことを思いながら、ようやく麻妃先輩と校門を抜けると言われるままに麻妃先輩について行く。
麻妃先輩には、行きたい場所があるらしい。
それがどこなのかはまだ聞かされていないけど、麻妃先輩が歩く隣で、俺の静かな激しい妄想は止まらない。
…女のコだから、スイーツが食べたいとか?
帰り道なら、この辺だと…クレープとかアイスとかだよな。
なんだぁ、麻妃先輩もカワイイとこあんじゃん。
そんなことを考えながら、しばらく歩くこと数分後。
「あ。あれあれ。着いたよ、三島くん」
「?」
ようやく目的の場所に到着したらしく、足を止めると、目の前に建っていた建物は…
「……CDショップ、」