スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
カレンに押し切られる形で恋人同士となった俺達だが、居心地は意外にも悪くなかった。

その名の通り可憐な外見とは裏腹の勝ち気であけっぴろげな性格も、一緒にいるうちに好ましく思えてくるから不思議だ。


お互い多忙だったのであまり相手に干渉している暇もなく、肩の力を抜いてゆるい交際を続けていた。

カレンは自己中心的な性格だったが、今すぐ会いに来いだとかもっと連絡を寄越せだとか、そういった類のワガママを言った事は一度もなかった。



「ねぇ、リョウちゃん。そろそろあたしの事好きになってくれた?」


貪るように求め合った後、ベッドの中のカレンがしたり顔で言う。
今までその質問にノーと答えた男はいないんだろう。


「さぁ。どーかね」

「えぇー?」


なぜか楽しげに笑い、彼女は再び俺に体を寄せてきた。
裸の胸に吐息がかかってくすぐったい。


「天の邪鬼なんだから。ほんとはベタ惚れなくせに」

「何言ってんだか。」


強い力で腕の中に閉じこめると、彼女はぎゅっと抱きついてきた。



「……好きよ。リョウちゃん」
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