スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「西澤カレンと付き合ってんの!?すっげー!」
岳との約束にカレンを同席させた事が一度だけある。
三人とも年齢が同じで、何となくカレンと岳は馬が合いそうな気もした。
安っぽい大衆居酒屋の個室でカレンは完全に浮いていたが、本人は気にする様子もない。
バラエティー番組で何度か共演した事があるらしい二人は、急速に打ち解け合っていた。
「そういえばカレンちゃん、リョウのどこが良かったの?」
「おい。やめろって」
完全に酔いが廻った赤い顔で、岳はカレンに聞く。
「んー、最初は顔だったんだけど。今はリョウちゃんの全部が好き。意地悪で素っ気ないところも、笑うと可愛いところも。」
俺を見てふふっと笑う彼女の頬にも、ほんのり赤みがさしていた。
「……あっそ。」
テーブルの下で握られた左手を、やんわり握り返す。
この手を引いたまま
宇宙へだって行けそうな気がした。