スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

俺は写真家だ。

写真の質にこだわらないでどうする?
自分にしか撮れない写真を追い求め続けないでどうする?

ようやく得た個展という大チャンスも棒に振るところだった。

深呼吸してもう一度パソコンに向かうと、面白いようにアイディアが湧いた。



『会場全部が春木さんの写真になるなんてすごい!』



ふっ、とヒナの笑顔が浮かぶ。


……いつでも素直な目で向き合ってくれるアシスタントがいる俺は、幸せ者なのかもしれない。


誰よりもあいつが一番喜ぶ個展にしたい。
いや、しなきゃダメだ。



「……見てろよ。」



俺はまたしても、ヒナに救われてしまった。
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