スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
第3章

横断歩道のヒーロー

新年早々、事務所に嬉しいニュースが飛び込んできた。

海外の新聞社が主催するコンテストで、春木さんの写真がグランプリに選ばれたのだ。


「応募した事も覚えてなかった。」


春木さんは他人事のように呟き、海外から届いた新聞をしげしげと眺めている。
横から覗き込むと、私も見覚えのある写真が大きく掲載されていた。


「やりましたね!」

「まぁな。副賞がすごいんだよ。航空券だって」


春木さんは同封されていた書類を指でつまみ上げた。
全て英語で書かれていて私には到底理解できないが、春木さんは難なく読み上げる。


「この中から行きたい国をひとつ選んで申請するらしい。タイ・アメリカ・デンマーク・インド……やっぱ儲かってんだな新聞社って。スケールが違うよ」


そこまで言って春木さんは私を見下ろした。


「良かったね。取得したてのパスポートをたくさん使えて」

「えっ、私も行けるんですか?」

「ペア券って書いてあるだろ。」
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