スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
春木さんに頼まれた仕事の用事を済ませた後、私はスクランブル交差点で信号待ちをしていた。
今日はこのまま直帰でいいと言われている。
明るいうちに帰れるのはどれくらいぶりだろう?
せっかくだからもう少し街をプラプラしようかな、なんて考えているうちに信号が変わり、周りの人たちが一斉に歩き始めた。
私も足を踏み出した途端、鼻の頭にふわりと冷たいものが落ちてきた。
「あ。」
雪が降ってきたのだ。
東京で初めて見る雪は地元のものとは違い、どこか頼りなく儚げだった。
横断歩道の真ん中で足を止め、空を見上げる。
空は薄く引き延ばしたような青色をしていた。
ちらつく雪の白がよく映えて、とても綺麗だ。
「……」
思わず鞄から一眼レフを取り出し、空に向けて構えた。
春木さんにこれまで貰ったアドバイスと現場で見てきた彼の技術を、記憶の中から引っ張り出す。
空を撮る時は、太陽の位置に注意する。
露出補正をプラスに変える。
明るさをコントロールして……
夢中でシャッターを切るうち、ここがどこだか忘れてしまった。
パパパーー!!と大きな音が鼓膜に届く。
それが車のクラクションだと認識する前に、私の体は誰かに突き飛ばされた。
今日はこのまま直帰でいいと言われている。
明るいうちに帰れるのはどれくらいぶりだろう?
せっかくだからもう少し街をプラプラしようかな、なんて考えているうちに信号が変わり、周りの人たちが一斉に歩き始めた。
私も足を踏み出した途端、鼻の頭にふわりと冷たいものが落ちてきた。
「あ。」
雪が降ってきたのだ。
東京で初めて見る雪は地元のものとは違い、どこか頼りなく儚げだった。
横断歩道の真ん中で足を止め、空を見上げる。
空は薄く引き延ばしたような青色をしていた。
ちらつく雪の白がよく映えて、とても綺麗だ。
「……」
思わず鞄から一眼レフを取り出し、空に向けて構えた。
春木さんにこれまで貰ったアドバイスと現場で見てきた彼の技術を、記憶の中から引っ張り出す。
空を撮る時は、太陽の位置に注意する。
露出補正をプラスに変える。
明るさをコントロールして……
夢中でシャッターを切るうち、ここがどこだか忘れてしまった。
パパパーー!!と大きな音が鼓膜に届く。
それが車のクラクションだと認識する前に、私の体は誰かに突き飛ばされた。