スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「は……?」


何と答えるのが正解なのか。
ひとつも言葉が浮かばなかった。



「レフ板、持ってきました。」



ヒナが戻ってくるまで、ぶつかりあった視線を逸らす事さえ出来なかった。


「……あぁ。サンキュ」


彼女に動揺を悟られまいと無表情をつくる。
岳はふいっと顔を背けてどこかに行った。




『嘘だよ。』


撮影が終わるまで
岳の口から、とうとうそんな言葉は出てこなかった。
< 149 / 333 >

この作品をシェア

pagetop