スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
岳は昔から明るい奴だった。
少々おちゃらけたキャラクターも人気に火がついた理由のひとつなんだろう。

その岳が冗談の気配を感じさせない、真面目な顔で俺に言ったのだ。



『だったらどうする?』



なぜそんな事を聞いてきたんだろう。


ヒナが俺のアシスタントだから?
だからって許可なんか要るもんか。



でも、岳にそう言われたあの日から
俺の胸には確かに何かが引っかかっている。


飲み込んじゃいけなかったものが、案の定いつまでも体内に留まっているような。
そんなどうしようもない不快感に付きまとわれていた。
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