スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「っ、」


なぜ今まで気が付かなかったのか。
言い訳するなら髪に隠れていたからだ。

今日のヒナは髪をまとめていて、首筋が剥きだしになっていた。


「そっか、もう少し明るく……」


何事かを呟きながら席に戻ろうとする彼女の右手を
反射的に掴んでいた。



「お前……首」

「え?」

「火傷の痕、残っちゃったのか?」



原因は説明するまでもない。
火事になった個展会場から俺の写真を救い出したせいだ。
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