スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
あぁ、と慌てて患部を手で覆い隠す彼女を見て
俺は如何とも形容しがたい気持ちに苛まれた。

罪悪感、というのが一番近いかもしれない。
あの時駆けつけた消防士の「首と腕に火傷がある」という言葉を思い出す。


「痛くも何ともないんです。自分で見えないから普段は忘れちゃうくらいだし。全然平気です」


彼女の手じゃ隠しきれていないくらい、火傷痕は広範囲に広がっていた。



どれほど熱かったんだろう。
どれほど怖かったんだろう。



俺の頭の中で
ぷつん、と何かが切れる音がした。
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