スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
「わ……え、」


ほとんど無意識にヒナの体を壁に押しつけていた。
何も考える事が出来ず、頭は空っぽだった。



「え?」



俺を見上げる瞳には、はっきりと戸惑いの色が浮かんでいる。


彼女の手首を拘束したまま、火傷の痕に指でそっと触れた。
赤く盛り上がって痛々しいそれと引き替えに、俺はヒナに何をやれたんだろう。


深く息を吐いた。

全然平気だって?




「……俺が平気じゃないんだよ。」
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