スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
彼女の首筋に何度もキスを落とす。

そうせずにはいられなかった。
俺は狂ってしまったんだろう。


唇と唇が合わさろうとした瞬間



「……や、」



ヒナは微かに
でも確かに、俺を拒絶した。


固く閉じられた瞼。
背けられた顔。
長い睫毛が細かく震えている。



一瞬にして我に返った。
自分のした事が信じられなかった。


強い力で掴んでいた彼女の手首には、俺の指の跡が残っている。



「……ごめん、」



彼女の顔は見ないまま、足早に部屋を出た。
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