スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

好きかもしんない。

「アメリカで良い?」


事務所でコーヒーを煎れていると、突然春木さんに尋ねられた。


「え?」

「撮影旅行だよ。コンテストの副賞の」

「あぁ!アメリカのどこにするんですか?」

「ニューヨークにするか。ベタだけど」

「はい!」


カレンダーを見ながらコーヒーを春木さんに手渡した。
仕事のスケジュールからすると、旅行は来月になりそうだ。


「行った事あるんですか?」

「何回か。あ、そうだ」


春木さんは本棚から過去に出版した写真集を出してきて、ページをめくった。


「ほら、この写真とかニューヨークだよ」

「へー……」


本を受け取ってまじまじと見つめる。
何度も見た事のあるストリートの写真だったが、撮影場所がどこかまでは知らなかった。
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