スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜

「今までも何人かいたんだよ、リョウのアシスタントって。でも誰も長続きしなかった。理由は大体分かるでしょ？」

「……はい」


私は曖昧に頷いた。

もちろんそれだけじゃないと思うけど、春木さんの人柄も多少は影響しているんだろう。


「でも……さっき撮影してる春木さんを見て、やっぱりアシスタントになって良かったって思いました」

「え？」

「どうしたら春木さんみたいに人の心を掴む写真が撮れるのか、すごく興味があったんです。どんな風にファインダーを覗くんだろうって。だから春木さんの写真が生み出される瞬間に立ち会えるのって、多少怒られるのなんかへっちゃらなくらい幸せです。」


言い終えた後で自分の頬が緩みきっているのに気付き慌てて口をつぐんだ。
春木さんの写真の事になると、ついいつも喋りすぎてしまう。


「………そっか。」


謝ろうとした私より先に一條さんが笑った。


「何か、安心したよ。ヒナちゃんみたいな子が新しいアシで」


そう言って私の頭をポンポンと叩く。


この人は……一條さんは
本当に友達思いの、温かい人なんだと思った。


「頑張れよ。」