スローシンクロ 〜恋するカメラ女子〜
スタジオから事務所へ引き上げてくるやいなや、春木さんに書棚の片づけを命じられた。
春木さんは隣にあるもう一部屋で、今日撮影した写真を加工したりする仕事があるらしい。
写真の知識と技術を要する仕事では全く役にたたないんだから事務所の整理でもしておけ、という訳だ。
乱雑に詰め込まれた資料や本で溢れかえる棚を前に目眩がしそうになったけれど、本屋でやっていた書棚整理と同じだ!と自分に言い聞かせて何とか手を付け始めた。
そうして一時間も経っただろうか。
「あれ?」
黙々と片付けをしていると、ふと透明なアルバムが目に入った。
背表紙にも何も書いていない。
これはどこに分類すればいいんだろう?
「う、わぁ……!!」
表紙を開いた私の目に飛び込んできたのは、たくさんの風景写真だった。
露に濡れる花。曇り空と橋。どこか知らない外国の街並……
どれも春木さんが撮ったものに間違いないけれど、どれも見た事がなかった。
写真展や作品集にも収録されなかった、まだ世に出ていない写真たちなんだろう。
「きれい……」
思わぬ所に保管されていた宝の山に、私はうっとりとため息をつく。
仕事も忘れてついその場にしゃがみ込み、夢中でアルバムをめくり続けた。
春木さんは隣にあるもう一部屋で、今日撮影した写真を加工したりする仕事があるらしい。
写真の知識と技術を要する仕事では全く役にたたないんだから事務所の整理でもしておけ、という訳だ。
乱雑に詰め込まれた資料や本で溢れかえる棚を前に目眩がしそうになったけれど、本屋でやっていた書棚整理と同じだ!と自分に言い聞かせて何とか手を付け始めた。
そうして一時間も経っただろうか。
「あれ?」
黙々と片付けをしていると、ふと透明なアルバムが目に入った。
背表紙にも何も書いていない。
これはどこに分類すればいいんだろう?
「う、わぁ……!!」
表紙を開いた私の目に飛び込んできたのは、たくさんの風景写真だった。
露に濡れる花。曇り空と橋。どこか知らない外国の街並……
どれも春木さんが撮ったものに間違いないけれど、どれも見た事がなかった。
写真展や作品集にも収録されなかった、まだ世に出ていない写真たちなんだろう。
「きれい……」
思わぬ所に保管されていた宝の山に、私はうっとりとため息をつく。
仕事も忘れてついその場にしゃがみ込み、夢中でアルバムをめくり続けた。